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「もとは帝都大学の経済研究会だったわけですが、経済はもちろん、もっと広く学生の立場から発言できるのではないか、そのように仲間たちと話していたのが発端でした。」
水上の挨拶を横目に神島と梶原が言葉を交わす。
「水上の奴、なかなかの役者だな。」
「今度は私にも調教させてくださいな、神島さん。」
「調教したつもりが、実はされているってこともありますよ。桃子さん。」
「ほほほ。とにかく神島さんの計画が大きく前進したことは間違いありませんね。」
「まだまだ、ほんの第一歩ですよ。」
水上翔太は見事に大役を演じきって席に戻った。
かくして神島隆一とその一派が作り上げた政治経済研究学生連合(略して政経研学生連合という。)が動き出した。
帝都大学、東光大学を始め首都圏の8大学の研究サークルがこれに参加している。更にバックアップ企業としてトミタ自動車、五菱JJF信託銀行等6社。これに東京シティTVと電広堂がメディア戦略を担当することになっていた。
拡大する政経研学生連合と比例して神島隆一の同類たちも増え続けていた。神島の新派となった人間たちは太陽の下で着々と計画を進行させて行く。だが、彼らの本当の姿はやはり夜の側にあった。
「さあ、入ってちょうだい。」
テレジアが連れてきたのは老齢の日本人女性だった。黒っぽいオーバーコート、頭にグレーのストールを巻いている。
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