第4章 千里眼(後)

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「遠慮しなくていいから。」  ここ1ヶ月ほどでマンションの室内はテレジア仕様に色々と模様替えされていた。玄関の扉にはドリームキャッチャーのような編み目模様の壁掛けが下げられていた。  その壁掛けを怖々と潜って我孫子悦子が顔を出した。 「あら、あなたがマリーちゃん?」 悦子が先にマリーに声を掛ける。 「あ、あの、こんにちは。」 マリーは突然の来訪者にどぎまぎする。 「我孫子悦子さん。彼女は千里眼なの。」 テレジアがマリーに紹介した。 「せんりがん?」 「色々なものが見通せるの。凄いわよ、彼女の能力は本物だわ。」 「私もね、若い頃にヨーロッパにいたのよ。オランダが長かったんだけど、占いをしてたこともあるわ。それでね、そんな話から仲良くなって・・・。今日はお呼ばれしちゃったの。」 小柄な悦子はころころとよく笑った。  3人は居間の大きな木のテーブルに着く。床には大きな陣形が描かれていた。 「魔法陣ね? 玄関といい、居間といい、何かに襲われることを想定してる?」 「はは、悦子さんにはお見通しね。そう、まもなくここに侵入者があるはず。その時のための用心よ。」 「侵入者?」     
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