第4章 千里眼(後)

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「安心して今日、明日のことじゃないはずだから。あら、そんなことは悦子さんの方が見えるんだった。」 「悦子さん、千里眼てどんな・・・?」  マリーも席に着くと悦子に尋ねた。 「彼女の千里眼は時間を超越しているの。」 悦子の代わりにテレジアがマリーの質問に答えた。 「え? どういうこと?」 再び怪訝そうなマリー。 「普通千里眼て遠く離れた場所が見えるのよ。でも、悦子さんの場合、時間も超える。つまり、何年何月何日の何時何分どこで、という透視ができる。」 「それじゃあ・・・。」 「見え過ぎるのも考えものよ。この能力のせいで彼とはうまくいかなくなっちゃったわ。もっとももう半世紀も前の話だけどねえ。」 我孫子悦子はそう言ってまたころころと笑った。 「ここに誰がいつ来るのか分かるの?」  テレジアはマンションで敵を迎え撃つつもりだ。だからそのための準備を整えていた。玄関のドリームキャッチャーはドリームキャッチャーなどではなく古来日本では籠目と呼ばれたバリアーだ。床の魔法陣は異界のものを封じ込める檻の役目をする。そして奥には対ヴァンパイア用の武器を集めていた。 「未来のことはね、はっきりとは見えないのよ。時間も曖昧になるわ。そりゃ未来は変わるものだからね。」     
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