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「お店の入り口と反対側の奥、テーブル席に3人の男たちがいませんか?」
「ああ、いるいる。若い男たちね、スーツ姿の。あなたが見てるわ。吸血鬼ね? 昼間でも大丈夫なんて上級の奴ねえ。」
マリーにその時の恐怖が蘇った。
「彼らが飲んでいるのは、トマトジュースじゃなくて珈琲だわ。アイスコーヒーね。」
そしてまたころころと笑った。しかし目は開いているのか閉じているのか、水晶玉に向けられている。どうやら水晶にその時の光景が映っているようだ。悦子にだけそれが見える。
「カミジマさんて呼ばれている男が一番若いんだけど、偉いみたいね。と言うより恐れられている。で、バンドウって呼ばれている男、出版社の人みたい。ああ、週刊誌を広げてるわ。この男の出版社のみたいね。え? アキモトって人をどうかするって言ってるわ。怖いわね。」
話していることも過去のことは明晰に見通すことが出来るらしい。我孫子悦子の能力は尋常でなかった。
「もう一人は、事務局の事務長みたい。何の事務局かしら? よく分からないわ。カミジマと関係のある事務局みたいね。スズキだって。何だか分からないわね、そんなんじゃ。えっと。東光大学政治経済研究会? 警察?何かこっちもやばい話みたい。でもカミジマはとっても落ち着いてるわ。」
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