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悦子に少し疲れが出てきたようだった。
「悦子さん、疲れちゃうからその辺にして。」
テレジアが言葉を挟む。
「まだ大丈夫よ。ちょっと待って。何かしら、窓際の席にいる二人、カミジマたちの席へ行く。なんだ、会計へ向かうのね。」
「いえ、そうじゃない。テーブルの下に紙袋を置いた。そのまま行き過ぎるわ。」
悦子は明らかに疲労の色が濃くなっていた。
「爆弾だわ。犯行はモスク・グループじゃなかった・・・。」
とテレジア。
「強い力・・・カミジマが何かに気が付いた。いえ、誰かを探しているんだわ。」
「私だ・・・。」
マリーが言った。
「会計で何か揉めてる。速くしろよ、キタデ、急がないと。さっきの窓際の二人組だわ。会計で揉めてるけど、出て行った。」
マリーは心臓が止まるかと思った。
『速くしろよ、キタデ。』
まさか、キタデって・・・。
「悦子さん、そのキタデって呼ばれた男、どんな格好してるの?」
テレジアが素早く聞く。
「普通の恰好よ、グレーのズボンにポロシャツかな。上着は手に持ってる。あ、右手首にタトウが入ってるわ。鎖みたいな模様が手首に。」
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