第4章 千里眼(後)

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 もしこれが北出修三の兄なら喫茶店爆破事件の犯人は半グレ集団京浜連合と言うことになる。北出の兄はタトウを入れていると以前北出修三は語っていた。  それより、北出修三はこの喫茶店で兄と遭遇していることになる。しかもターゲットは同じ神島隆一だった。マリーに漠然とした不安感が広がる。 「もうすぐ4時38分になる。爆発する! なんて強い力なの。この3人は何なの?」 「悦子さん、悦子さん、もうやめて、もういいから。」 テレジアが我孫子悦子の肩を揺さぶって透視を止めた。悦子は肩で息をしながら現在に戻ってきた。 「恐ろしい。カミジマはマリーちゃんに意識が集中していたわ。そこに突然足下で爆弾が爆発したというのに、瞬時に反応した。3人ともよ。どうやったのかしら、それは分からない。でも、3人は爆発から守られた。」 「バリアーでも張ったのかしら。」 とマリー。 「神島隆一の力は現実の物理世界にも及ぶ。人の心をコントロールするだけじゃない。このあと3人は堂々と店を出て行ったのね。」 テレジアが不安げに答える。 「神島は誰がやったのか、分かっていないのかな?」 「そうね。直前までマリーちゃんに意識が集中していたから爆弾を置いた奴が誰かまで分からなかったかも。」 汗を拭きながらお茶をすする。だがすぐに悦子がさっきとは逆のことを言い出した。     
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