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「あのときお前は、親衛隊長ジョヴァンニの娘を人質に取った。幼い娘をいたぶってジョヴァンニの翻意を促したが、結局奴は寝返らなかった。長い時間を無駄にしただけだった。」
神島は少し嫌な顔をして
「長い時間? お前には時間が無いとでも?」
「そんなことではない。力尽くで一気に片付ければ済んだことだと言ってる。」
「ふん。だが、親衛隊を皆殺しにすれば、近衛兵や王国の軍隊まで反攻に加わったはずだ。王は我々に傾いていた。親衛隊を翻意させることが得策だった。」
「なら、近衛兵も軍隊も皆殺しにすればいい。」
「おいおい、それじゃあ支配できても誰もいなくなってしまうぞ。」
先に済ませて手を洗う神島がミラー越しに背後の阿久津に答えた。だが、ふたりの姿はミラーには写らない。そして神島が続ける。
「分かったよ。どっちみち東京という街はやたらと人が多い。半分くらい死んでも十分足りると思うからね。君の好きな作戦も織り交ぜていくことにするよ。」
席に戻ると柳澤がナンバーワンホステスのカスミの乳房に食らいついていた。
「神島さん、あの子でいいですか?」
斎田が部屋の隅で恐怖におびえている娘を顎で指す。
「どうしたんだ?」
「柳澤さんが店を貸し切りにしてくれました。」
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