第5章 麻布十番の惨劇(前)

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「更にだ、渋谷で殺された安野美枝子がストーカーしていた相手が木島洋子だけでなく梶原桃子もだったようだ。つまり神島隆一と繋がる2人を安野美枝子はつけ回していた。」 「それってどういうことですか?」 「わからん。それを調べるのがお前たちの仕事だ。他に何か質問は? なければ動け!」 「はい!」  新宿西、渋谷北の刑事たちが一斉に部屋を出て行った。ふたりの女子大生殺しについては麻布中央の刑事は加わらない。定期的に全体会議は桜田門の庁舎で行われていた。  散会した会議と入れ替わりに機捜201の阿木と生澤が入ってきた。 「早瀬管理官、お疲れ様です。」 「おう、来たか。ちょっと来い。」 3人は4階にある空いていた取調室に入った。 「管理官、何もここじゃなくても・・・。」 「ここが安全だ。」 「さっきの話、梶原桃子っていうのは?」 「これは佐津間のとこの刑事が聞き込んできた情報だ。権藤じゃないが、二人はレズ関係にあったらしい。犯人は梶原桃子の可能性が高い。非合法で採取した梶原の指紋が凶器のナイフに付いていた指紋と一部一致した。」 「なら、梶原を引っ張って・・・。」 「指紋採取は非合法だ、それを理由に引っ張っても、知らないで終わりだよ。」 「締め上げれば・・・。」     
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