23人が本棚に入れています
本棚に追加
/383ページ
「生澤、死因は失血だ。その血はどこへ消えた? ナイフで刺して出血した2リットルもの血はどこだ? 殺害現場すら特定できてない現状で逮捕など出来ない。」
早瀬のこの見解には機捜201のふたりともぐうの音も出なかった。
生澤の顔を見ながら早瀬が続ける。
「それに、気になるのは檜山教授から報告のあった首の血管の傷跡。俺は犯人は吸血鬼なんじゃないかと思ってる。」
早瀬管理官はしごく真面目な顔で言い放った。
「ま、まさか。何言ってるんですか。」
生澤が少々呆れた顔をする。が、阿木は真剣に早瀬を見ていた。
「その根拠はあるんですか? ただの勘ですか? 刑事の勘?」
「おいおい。」
生澤が阿木を見る。
「例の渋谷の事件もそうだが、俺はどうしても檜山教授の報告が気になって仕方がない。」
早瀬が推理を語り出した。黙って聞く阿木、そして生澤。
「安野美枝子の事件も死因は失血死だった。だが、それだけ出血する傷がない。木島洋子もナイフによる刺殺とされているが、ナイフは後からだったと思う。」
「いずれも吸血鬼が血を吸ったから死んだと、そういうことですか?」
生澤は半信半疑だ。というよりほとんど同意できていない。
「梶原桃子が死因を偽装するために後からナイフで刺したのかもしれない。麻布の事件も異様だ。聞いてるだろ、不良外人グループが全員消えた事件。それにルポライター失踪もそうだ。」
最初のコメントを投稿しよう!