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「お見受けしたところ学生の方とは思えませんが・・・。政経研学生連合はその名の通り学生の集まりですからな。」
「いや、これは失礼しました。私、川崎大学大学院の境と言います。一応学生なんですが、院生はだめですか?」
柳澤が続ける。
「それは、それは。院生でしたか、老けて見えますな。失敬、失敬。ただ、政経研は各大学の政治経済研究のゼミや研究会、同好会の団体の集まりでしてな。個人で加入云々はないんですよ。」
「行きましょう。」
水上が席を立って告げると、柳澤が慌ただしくブリーフケースを取り上げる。
「境くんと言いましたか、申し訳ない。学校単位での入会申し出なら検討させて貰いますので。今日はこれで。」
「申し訳ありませんでした。学校の仲間もいますから、皆と相談してまた参ります。今日はありがとうございました。」
と頭を下げる境を見ようともせず水上は楽屋のドアを開けて出て行く。柳澤がちょこっと首を傾け挨拶すると後に続いていった。それを黙って見送る境。
楽屋出入り口から駐車場へ出る通路でふたりは三島悠里に出会った。
「柳澤先生、こんにちは。」
水上の後に従う柳澤に挨拶する悠里。
「どうも。楽屋入り口でこっちを観察している男。境と名乗ってたが、ちょっと調べてみてくれ。」
柳澤が悠里に言う。
「境?」
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