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「自殺ではないかと疑われましたが・・・赤信号で飛び出してきたとか・・・。結局事故で決着しています。」
「ううん。」
電話を切ると、早瀬が腕を組んで唸った。隣で二宮が小さくなる。
「とりあえず店で話を聞きますか?」
阿木が後部座席を振り返って早瀬に尋ねる。
「いや、それは後でやってくれ。一カ所行きたいところがある。」
「どこです?」
「白金へやってくれ。」
「白金ですか・・・?」
腕組みを解いて早瀬が話す。
「二宮課長もいることだし、渋谷センター街事件をもう一度考えてみよう。白金は安野美枝子の自宅だ。」
「分かりました。」
車は白金に向けて方向を変えた。
やがて機捜201の二人と早瀬、二宮の4人は白金の安野前内閣官房副長官の自宅へ到着した。
そこは高級住宅街の中でもひときわ豪奢な建物だった。戸建てである。安野美枝子は基本この家で家族と暮らしていた。実際にはあちこちを泊まり歩いていたようで家に帰ってくることはあまりなかったようである。とはいえ、ここには美枝子の今までの人生が詰まっているはずだった。
「官房副長官と言うことでここの捜査はざっとで済ましてしまった。いいんだ、仕方なかった。気にするな二宮君。」
早瀬は恐縮する二宮に先に言葉を掛けた。
「相手が内閣官房副長官じゃ、しょうがないですよ。二宮課長。」
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