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阿木と生澤は勘を頼りに本棚やカラーボックスに収められた品物を見ていった。
「これは、ダイアリーだ。」
二宮が机の上のブックスタンドにあった本を取り出した。
「日記ですか?」
と阿木。ぱらぱらと中をめくる。
「真っ白だ。」
「美枝子が日記を書くたまか。」
早瀬は素っ気ない。そこへちょうど美枝子の母である安野婦人が珈琲セットを手に部屋に入ってきた。
「あ、あの、うちの上司、口が悪くて申し訳ありません。」
阿木が慌てて取り繕う。
「いえ、その通りですから。高校2年までは真面目にしてたんですが、高3の時に主人が内閣官房に入ってから、なんだか主人とぎくしゃくし出して・・・。家に寄りつかなくなりました。」
安野婦人は寂しげにそう言うと吊ってあった制服を見た。
「とはいえ、勉強は出来ましたので大学にも進学して、授業には出ていたと聞いてます。それが2年くらい前でしょうか、ボーイフレンドが出来たとか言って。」
早瀬は母親のグダグダ話には全く興味がないというように話を遮った。
「奥さん、美枝子さんに誰かから手紙が来たとか、そういうことはなかったですか?」
母親は珈琲をテーブルに乗せながら少し考えているようだった。
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