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安野婦人は階下へ降りていく。
「スマホに何もありませんでした。」
二宮が言う。
「スマホの通話履歴から神島隆一の名前を見つけただけです。海外との通話履歴もありませんでした。」
やがて美枝子のスマホを携えて安野婦人が戻ってきた。
「失礼します。」
スマホを手に取ると早瀬は画面を素早くスワイプさせていく。
「あった・・・。やっぱりな。」
「なんですか?」
と二宮。生澤、阿木もスマホの画面を覗き込む。安野婦人も身を乗り出していた。
「これだよ。スカイプだ。」
「ああ。無料電話アプリですね。海外との通話には便利だ。」
更にスマホを探索する早瀬はやがて大発見をする。
「これか・・・。」
「何です? ユーチューブですか?」
「ユーチューブの動画をダウンロードできるアプリだ。ここにダウンロードしたファイルが並んでいる。」
そこには様々な楽曲が落とされていた。主にユーロビートのダンス曲が多い。
「今時ユーロビートって。」
一番若い生澤がそう言うと二宮が、
「いや、一頃クラブなんかで流行ってたことがある。」
と答えた。膨大なファイルが並んでいた。一覧を何度もスクロールさせながら早瀬が選んだのは、スカイプのテレビ電話の録画だった。
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