23人が本棚に入れています
本棚に追加
「美枝子さんは外国語をしゃべれない。でも友人となら身振り手振りを交えた英語とフランス語、日本語のごちゃ混ぜで意思の疎通は出来る。だからメールではなく、電話だった。それも電話代の掛からないスカイプのTV電話で。」
「通話記録もスカイプは調べてないんだろう。」
そう言う早瀬にまた二宮は恐縮した。
録画ファイルには外国人、恐らくスイス人の若い女性が写っていた。なにやら話しているがその内容はすぐには理解できそうもない。4人は再び美枝子のスマホを借り出すと詳しく解析させることにした。
「この女性が話してる言葉の中にヴァンパイアという言葉があったような気がします。」
生澤が車中で早瀬を見た。
「・・・気がついた。」
警視庁特別会議室。桜田門の上層階にある大規模会議に使う部屋である。今日は朝から新宿西、渋谷北、麻布中央から刑事たちが集まっていた。そして本庁からも組織犯罪対策課の刑事たちが参加している。総勢100名を超える大会議だった。その総指揮を執るのが早瀬管理官だ。
「早瀬、一連の事件は本当に繋がっていると思うか?」
警視庁捜査一課長大垣が課長室を訪れた早瀬に聞く。
「一課長、確証はまだありません。それぞれの事件で有り、それぞれの被害者がおります。」
大垣は立ち上がると早瀬の前に進み出た。
「公安からお前が安野前官房副長官の自宅に現れたと報告があった。」
「早いですね。」
「令状を取った上ではないな。」
最初のコメントを投稿しよう!