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「早瀬管理官、あれは観察と分析そして推論の結果です。」
「そうだった。」
岡崎親子との接触がなければ機捜の二人はこの女を一笑に付しただろう。だが、どうやら戦うべき相手が異界のものかも知れないという不安が広がっていた。この色のない女は強い味方になるかも知れない。
「確か、公安部の・・・、公安と合同捜査と言うことになるんですか?」
説明しようとする早瀬を制して蘭はぶっきらぼうに語り出す。
「公安では外国人テロリストの脅威に対処するため、宗教関係に詳しい私を特殊捜査官に任命したの。特殊案件対策室と言ったって上司の安野部長と私だけだし。」
「安野部長?」
阿木が素っ頓狂な声を上げる。
「言ってなかったが、内閣官房副長官を罷免された安野氏は警察庁警備局の部長に就任した。ま、役職だけの閑職だ。それでこの特殊案件対策室長を兼務している。」
「公安部との連携になるんでしょうか?」
と再び阿木。
「当面連携するのは蘭だけだ。公安は勝手に動いているよ。だが事件の全貌によっては刑事部も公安部も関係ない大仕事になるぞ。」
「はい。」
と機捜の二人。
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