第3章 千里眼(前)

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第3章 千里眼(前)

 渋谷北署二宮課長配下の若い刑事が六本木喫茶店爆破事件の現場に神島隆一がいたことを突き止めたのは全くの偶然だった。  シティーTVに出入りしていた神島の足取りを追って監視カメラの映像を確認する地道な作業を1ヶ月ほども続けていた時、六本木通りを歩く神島隆一の姿を銀行の監視カメラが捕らえていた。  二宮は早瀬管理官に連絡を入れると同時に機捜201の生澤と阿木に応援を頼んだ。  そしてふたりは事件当日の小森珈琲茶房の正面パチンコ店の店内カメラを見つけ出した。事件があった日の午後4時過ぎ、神島がこの喫茶店に入って行くのが映っていた。  そして周辺の聞き込みの結果、店の2ブロック隣のドラッグストアの店員が爆発直後通りへ転げ出る高校生の男女を見たと証言した。  証言を元にカメラを再確認していくと、女子高生2名とやはり高校生と思われる私服の男性が爆発直後の店内から外へ走り出てくる姿が映っていた。残念ながら神島の姿はどこにもなく、阿木たちはこの3人組の高校生を追うことにした。 「この2名の生徒は誰だか分かりますか?」  制服から西邦学園高校を突き止めた阿木と生澤は教務主任を訪ねていた。     
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