一部 論究―『隠れキリシタン』

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序章1、中世ヨーロッパにおけるキリスト教  キリスト教とは、紀元1世紀中頃、イエスの死後に起こった弟子の運動(初期キリスト教運動)が、キリスト教の直接的な起源である。キリスト教の教義はユダヤ教を基礎とし、イエスや使徒の言行から発展したものであるが理論的発展を基礎付けたのはパウロ書簡およびヨハネによる福音書である。 パレスチナで生まれヨーロッパに伝播し世界宗教となったキリスト教が何故極東の島国日本にもたらされたのかを調べるとともにヨーロッパ人の信仰と明治初期、その禁教が解除され長崎地方に忽然と現れた隠れキリシタンの存在の意味をヨーロッパ史や世界史を通し論及したものがこの本文である。 先ずキリスト教史を世界史の中世というくくりで分ければそれは通常4世紀から15世紀にわたる千年以上もの長い期間をさす。  中世におけるキリスト教の展開はきわめて複雑で、主に三つの時代に分けられよう。 第1期は4世紀から10世紀にかけて、キリスト教の伝播時代である。地中海周辺に限られていたキリスト教が、アルプスを越えて全ヨーロッパに広がったのだ。     
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