雲行き

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雲行き

「この問題は?」 「これはここにⅩを代入して・・・」 放課後の教室に薫と残り、薫に数学の勉強を教えている。 さっき傷つくことを言ったのに何事もなかったように勉強を教わりに来た。こいつはいつもそうだ。俺がムカついてる時にこいつは来ては俺から怒りの言葉を浴びていた。それでもこいつは、いつも通りにいつも話しかけてきた。何度も、何度も・・・。 そんな薫に俺はだいぶ救われたことも多い。薫がいなければ、今頃俺はただの不良になり、月乃にも出会っていなかった。まっ、元々頭良かったし、薫に勉強を教えるのは苦ではなかったし。 「春弥? おーい、春弥!」 「あ、悪い、聞いてなかった」 「大丈夫か?」 「ああ、大丈夫だ。で、この問題か?」 「おう!」 自慢げに返事すんな。こんなの中一の問題だぞ・・・って 恥ずかしくてこんなこと今じゃ絶対に言えないけど、ありがとな、薫。
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