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警戒
っと言っても、どうやって離すかな・・・。無理やり離そうとして月乃がケガでもしたら最悪だしな。
「月乃ちゃん、行こう!」
「え!・・・しゅ、春弥!」
は?何こいつ。勝手に終わらせようとしてんだよ!
「ちょっと待てよ!まだ話は終わってねえだろ!」
月乃が切なそうな目で俺を見つめる。
「んなだよ!うっせなー!」
逆切れ・・・。めんどいな・・・。
「もういいよ・・・。しらけちまった。んなに言うなら返してやるよ!ほらよ!」
そう言うと、月乃を掴んでいた手が離れた瞬間、男の右足が上がった。・・・ま、まさかこいつ月乃を蹴る気かよ!俺は月乃に走りよる。
「月乃!」
「しゅ、・・・うっ!」
月乃が勢いよく俺の胸に飛び込むと、そのまま崩れ落ち、地面に座り込む。
こいつ、月乃の背中を思いっきり蹴りやがった・・・。
月乃は背中を抑えて痛がっている。当てり前だ。こんなガタイのいい男に蹴られたんだ。
「月乃?少し座ってろ。」
月乃の背中をさすりながら静かに聞く。
「だ、大丈夫・・・、ありがとう」
静かに笑いながら立ち上がろうとする。
バカなのかよ、大丈夫なわけないだろう。無理しやがって。強がるなよ。
「あーごめん、あたっちゃった」
はぁ?あたっちゃった?ふざけんなよ。
俺は拳を強く握りこんだ。ぶん殴っりてねえー。こいつ!
拳を振り上げようとしたとき、小さな手が俺の手首を掴んだ。間違いなく月乃だ。
「月乃!離せよ!」
しかし月乃は俯きながらも首を横に振った。なんで、こんな奴かばうんだよ・・・。
「じゃあねー!」
男はそう言い残し、暗闇に姿を消した。
くっそ!
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