降り始め

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降り始め

「市澤!」 勉強をしていた俺達の教室に響いた月乃の友達の、鈴色 亜紀(すずいろ あき)の声。 明らかに焦っている。月乃はどうしたんだよ。いつも月乃と一緒にいるじゃないか。月乃に何かあったのか? 「亜紀ちゃん大丈夫?月乃ちゃんは?一緒じゃないの?」 薫も俺と同じことを思ったのか。 「月乃が、合コン相手に・・・、」 月乃・・・。 「月乃がどうしたんだよ!月乃が合コン相手に何されたんだよ!応えろよ!」 自分でもわからない感情に、鈴色に怒鳴った。こんなことダメだってわかってんのに・・・なのに・・・ 「月乃、合コン相手の1人に裏路地に引っ張られてて・・・、その人、柔道習って私じゃあ、どうしようもなくて・・・。」 「裏路地って、近くの繁華街の裏路地?」 「そうだけど、まさか一人で行く気なの?って市澤!」 俺は、鈴色の止めの言葉には全く聞かずに教室を出た。 月乃、頼む、無事でいてくれ。 俺は繁華街の裏路地に全力で足を走らせた。 浮かぶのは月乃の笑顔。 月乃・・・、月乃!
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