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フェイクファー
れっきとした恋人同士でいたかった──これが彼の別れの言葉。
「俺たち周りになんて言われてるか知ってる? “母子”だってさ」
学生と社会人。年の差恋愛。
貢いで奢ってお金で繋ぎ止め、世話を焼く事で逆に彼のプライドを傷つけていた。
恋人としての情熱や情緒が失われていた事にも気付かずに。
最後の贈り物は、ファー襟のコート。
お願い、神様。
この冬の間だけでもいいから、彼を暖めてあげて。
たとえそれがフェイクだとしても。
【end】
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