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さざめく想い
あれから数日後、ヒロの部屋。
「おー!? そういえば今日、小島に会ったぞ」
椅子に座ってノートパソコンと睨めっこしてたヒロが急に振り返って話し出した。
ドキッとした。
「へー、どこで?」
ヒロのベットに仰向けになりながら、漫画を天井に指し示すように見ていたあたしは、一瞬、天井の小さなシミと目が合う。
「帰り道で」
頭の中に地図が浮かび上がった。
「あんた、どこに帰ろうとしてたの?」
「ここだが?」
「……どこで会ったの?」
「いつも通りの帰り道で、だが……?」
ページが進まない……。
「ほー」
「小島、めがね止めたみたいぞ」
「えっ!?」
あたしは思わずヒロに顔を向ける。
「コンタクトにしったって」
あの時の、ヒロの言葉が瞬く間に蘇る。
「……へー」
「今度、チーの家にでも遊びに来いって誘っといた」
「ほー……」
「……なんだよ?」
あたしは気付かないうちに相当、不機嫌になっていたようだ。
「いや、驚いてるだけ」
そう、美咲ちゃんのその行動に……。
ヒロが「?」という表情であたしを見ていたけど、それどころじゃなかった。
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