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あたしは、中学時代の美咲ちゃんのことを思い出しながら「本気なんだ……」と、焦点の合わない漫画に目を戻した後、ポツリと呟いた――。
その日は眠れなかった。
『どうしよう……』
ただそれだけ。
どうしようといっても、どうしようもない。
それなのに、どうしようが止まらない。
ヒロと美咲ちゃんを別々に思い浮かべる。
二人が次第に近づいていく……そして最後には、一緒にいるところを想像してしまう。
「んっ!!!!」
頭を強く振って、消し去ろうとする。
何度も同じことを繰り返している。
――だんだん、壊れそうになっていた。
「ヒロ……」
あたしは目の前にある写真に、あたしには似合わない、か細い声で囁きかけた――。
翌日。
学校から帰ると、あたしはどんよりと曇った気持ちが表れないように、後ろ髪を一束にキュッ!と結い上げ、パンパン!と頬を叩いてから、直ぐにヒロの部屋へ向かった。
体は急いでるのに『どんな顔したらいいんだろう……』と、気を緩めると弱い自分が直ぐに顔を出す。
そして結局なんの答えも出ないまま、ヒロの顔が早く見たいという思いだけで、そのドアを飛び込むように開いた――。
「よー、先生♪ 捗っとるかい?」
「ん!? ま、まぁまぁだな!」
先生は明らかに動揺している(笑)。
ちょっとだけ心が和んだ。
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