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「3ヶ月なんて、あっという間だからね~」
ヒロに悟られないように、あたしは何気なくテレビを点けて、ベットの端を背もたれに脚を抱え込みながらゲームを始めた。
でも、心が落ち着かない……
ヒロとの距離感が、イマイチ掴みづらくなってる……
「ところでヒロ」
「ん?」
「あんた、好きな人とかいるの?」
あたしのどこかにあったものが、するりと顔を覗かせてしまった。
弱いだけじゃなくて、厭らしさも合わせ持った【あたし】。
「は?」
「気になる人とかは?」
「へ?」
「……なんでもない」
なんとか押し留めた。
「……なんだそりゃ?」
だけど、一度も聞いたことがなかったことを聞いてしまった。
今まで聞く必要がなかったこと。
聞きたくなかったこと……。
ヒロが【どした?】という雰囲気で、あたしの横で胡座〔あぐら〕をかく。
心の高鳴り、不安、動揺、そういったものが伝わらないか心配になる……。
「執筆が進むぐらいだから、好きな人でも出来たのかなって……思って」
『言うな千尋!』
「そんなのいなくても、オレ様なら書けるわ!」
「そっか。さすがオールマイティな男は違うね~!」
「あたぼーよ!」
ヒロがゲームに参戦する。
あたしは全く集中できない。
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