約束

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約束

 パタッ、パタッ、パタッ。  サンダルを鳴らしながら、道を挟んだ向かいの家へ。  ヒロの晩御飯を作るようになった頃から、ヒロのお父さんが渡してくれた合い鍵。 「チーちゃん、ほんとにいつもありがとう」  優しいヒロのお父さんの言葉が、心に響く。  出張から帰って来た時には、必ず、私にはお土産を買ってきてくれる(笑)。  ガチャリと鍵を開け、勝手知ったる他人の家へ。  そのまま二階へと上がり、ヒロの部屋まで躊躇(ためら)うことなく進む。  トントンッ♪とノックをして、返事を待たずにドアを開けた―― 「小説家だー!」 『は~!?』  そこには、部屋の真ん中で両手を握りしめて叫ぶアホ……間違ってないけど、一応(苦笑)、幼馴染のヒロがいた。 「なによ? 急に」  あたしには察しがついていたものの、社交辞令で聞いてみる。 「?、よー♪」  ヒロがこちらに振り返り、いつも通りの挨拶。  あたしも、「よー♪」と返しつつ、お目当ての本棚へ。  ヒロの既に(ひる)んだ目が後をついてくる(汗)。 『どれにしよう?』  数ある漫画の中から、今日の一冊を思案する。  漫画や食の好みとか、ヒロとは気が合う所が多い。     
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