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美咲ちゃん
休日。
約束通りヒロと商店街の写真屋さんに焼き増しをしてもらいに。
「ちょっと時間ちょうだいねー」ということだったので、駅前のハンバーガーショップに来ていた。
二階の窓際、ヒロと談笑していると、「千尋ちゃん?」と、あたしを呼ぶ声が……。
声の方に顔を向けると、そこにはショートカットの良く似合う、黒縁のめがねをかけた可愛らしい女の子が、あたしとヒロの間に立っていた。
あたしは内心、ドキリとした――。
「美咲ちゃん! 久しぶり! 元気だった!? 今日はどうしたの? 誰かと一緒?」
「ぁ、ぅん。 お昼ついでに勉強しよっかなって思って……1人だよ」
美咲ちゃんは微笑む。
「へー、そうなんだ! 偉いね!」
『浮足立つって、こういうことかな?』
頭の中で、そんなことが過ぎる。
「とりあえずこっち座って♪」
「ぁ!? ぅ…ぅん」
本当は『嫌』という感情があった。
美咲ちゃんと二人【だけ】でなら、楽しく話せた――。
「桜井♪ 覚えてるでしょ? 美咲ちゃん!」
「お、覚えてるに決まってんじゃん♪ 長瀬の友達で、同じクラスだったことのある……」
「そう! 小島美咲ちゃん♪」
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