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「占い師……ジェア、さん? ここは占いをしてもらうところなんですか?」
「ええ、そうよ。ここは運命に導かれし者が訪れ、これから先に起こる出来事への……そうね、心の準備をするところ、と言えばわかりやすいかしら」
「運命に導かれし者……?」
「思い当たることはない? あなたは数奇な運命の下に生まれ、そして、それと同じくらい数奇な運命を歩んできた父親に育てられた。運命に導かれているというのは、そういうことです」
「それは……」
「そして、これから先もあなたには、これまで以上に数奇で過酷な運命が待ち受けている」
エリナの心臓が大きく跳ねる。
占い師の言葉は確信に満ちていて、とても嘘や適当を言っているようには聞こえなかった。
その予言を受けとめた上で、エリナは口を開く。
「そうなのかもしれない。だけど――」
ジェアはうなずき、エリナにその言葉の続きを促した。
「大丈夫だと思う。わたしには大好きな友達たちがいるから。それにりっくん――お父さんも。だから、どんなに辛いことがあっても、きっとわたしは大丈夫。そんな気がするの」
それはなんの確証もない言葉だったが、強い確信に満ちた言葉でもあった。
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