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「……強い子ですね、あなたは。それに、とても勘が鋭い。私に言われなくても、自分の身にこれからなにかが起こるということを、すでに直感しているのですね」
「え? そ、そうなのかな……」
「だけれど、運命の歯車はあなただけでは回らない。あなたを取り巻く人々の歯車も一緒に回る。そして、その人々をさらに取り巻く人々の歯車も。そうして運命の歯車は回り、世界を大きく動かしていく……。あなたはあなたが生まれながらにして持つ、その力の大きさと重大さを知ることになるでしょう。そして、その力を持ってしても、あなた一人ではどうにもならないことが世の中にはあるということを知るでしょう」
ごくりと生つばを呑みこみ、エリナはその言葉に真剣に聞き入る。
「あなたには決して逃れることのできない大いなる選択の機会が訪れる。その選択によって、あなたの運命だけでなく、あなたを取り巻く人々の運命も、さらには世界の運命もが大きく動くことになるでしょう。信じることと考えること。その二つを決して忘れないように」
「信じることと考えること……」
「今、私が言えるのはそれくらいです。ああ、いえ、もう一つあったみたい」
「もう一つ?」
「あなたの大好きな、二人と一匹のお友達があなたを捜しています」
「わわっ、そういえば、みんなでお祭りを見に来てたんだった!」
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