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三人が一緒にいるときなどは、ひっきりなしに三人の間を移動し、その肩や頭に留まっていた。
「あ、もしかして……」
と、フラン。
「フランはわかってくれるよね!?」
エリナは必死にすがりつく。
「エリナ、もしかして振る舞い酒でも飲んじゃったじゃ……。だからヘンな夢を見ちゃったのかも」
「なるほど。そのセンは確かにあるわね……。エリナ、水よ。酔っ払ってしまったときは、水をたくさん飲むんだってルナが言ってたわ」
「ち~が~う~! わたしお酒なんか飲んでないもん!」
「でも、エリナ。エリナを見つけたところの周りには、そんな天幕はなかったし、こうやって見回っていても、やっぱり深い藍色の天幕なんて見当たらないじゃない」
「うぅ……そうかもしれないけど……」
カナーンのごもっともな論に、エリナは口を尖らせた。
だが、そうしている間にも占い師との記憶は薄れていってしまい、エリナ自身も、段々と自信を失ってきてしまった。
「あ、そういえば」
「エリナ、なにか思い出せた?」
フランがエリナの顔を覗きこむ。
「なんでその時、気がつかなかったんだろう……。その占い師さん、別れ際にわたしのことを『魔王の娘』って呼んでた……」
「「!?」」
エリナのその言葉に、フランとカナーンはギョッとした顔を見せた。
「ような気がする」
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