”歩かない”と式の手遅れ 中盤

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というのも俺が通ってた青市立青中学校の俺の学年は先生に奇妙だとよく言われていた。 ア行の苗字の生徒が俺一人しかいなかったからだ。 250人中一人だ。 市内ではそれが有名で、他校と部活の合同練習をしたときは大体そのことで話しかけられていた。 ア行が俺しかいないわけだから有村さんが青中生だということはありえないわけだが。 「ほんとだよ。」 「そっか。」 あれれ、おかしいな? 有村さんはア行だよな? 、、、嘘? こんなニコニコした笑顔で嘘を! なんてね。 有村さんが嘘をつく理由なんて無いし、俺が勘違いしていた可能性もある。 今までの経験上、勘違いだと思ったら大体勘違いだ。 別に嘘でも本当でも構わないし、何より追及するのは嫌いだ。 「そんなに信じれない?」 有村さんはちょっとショックを受けた声色でたずねた。 知り合いが全然いない高校に入学して、たまたま同じ中学だった人と同じクラスになった。 でも話しかけたら自分のことを知らないし、しまいには半信半疑感出される。 落ち込むのも納得だ。 「いや、ちょっと勘違いが起きてた。ちょっとも疑ったりしてないから気にしないで。」 ちょっともと言えば嘘かもしれないがせっかく話しかけてくれたんだから、仲良くしないとな。 よし、切り替えていこう。 「そっか。それじゃあ、そろそろ本題に入ろうかな。」 「本題?」 「、、、私ね、赤崎君が皆勤賞を取れた理由を知ってるの。取らざるを得なかったんだよね。」 「、、、!」 まさかと思い、俺は少々興奮気味に階段を上った。 「有村さんそれってどういう意味?」 興奮と言っても(いきどお)りではない。 どちらかと言えば喜びに近いほうを奮っていた。
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