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有村さんはポケットから国語準備室のタグが付いた鍵が出てきた。
そういえば担任の松田先生は国語の先生だったか。
そのカギを再びポケットの中にしまい有村さんは階段を下りた。
俺は国語準備室の場所が分からないのでおとなしく有村さんの斜め後ろを歩く。
二人の歩く間合は五十センチほど。
普通に仲のいい友達と一緒に歩いてる時の距離と言えばわかりやすいだろうか。
今日が初対面の人に対しては近すぎる距離かもしれない。
こういう時の人の距離はその人と相手の仲の良さを表すというが、今回はどうなのだろう。
俺はただ単に話をしたくてこの距離を選んだのかもしれない。
気になることが色々あって聞きたくて聞きたくて仕方がなかった。
それにしたって少々近すぎたようだ。
「ええっと、、何か聞きたいことがある?」
その距離に気付いた有村さんはちょっと困った顔で訊いてきた。
しかし有村さんの気遣いなのか、自らその異常に近い距離を離そうとはしなかった。
飽く迄も平常を装ってくれていた。
その器量のでかさが有難かった。
「あ!ごめん!えーと、、そうそう聞きたいことがあってさ。」
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