”歩かない”と式の手遅れ 中盤

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有村さんと他愛(たあい)もない話していると、それが勘違いであったことを知り、安心を感じる。 とてもいい時間だった。 しかし、話はここからが本番だ。 有村さんは国語準備室のドアを開けた。 国語準備室があるB(とう)(かい)は学校の中でも比較的人通りが少ないようで、人の気配が全くしない。 あまりに静かすぎて話し始めるのに抵抗を感じるほどだ。 この状況を凡例(ぼんれい)で例えるならあれだ。 大体(だいたい)の人が経験(けいけん)したであろう小中学校の給食中に出現する、時折(ときおり)静寂(せいじゃく)である。 放送の音楽が流れてないときにたまたまクラスの生徒が全員黙ることでなんか話し出しにくくなるやつ。 大抵(たいてい)5秒もしないで誰かがしゃべり始めるが、1学期前半のまだ安定してないクラスだとそのまま黙々(もくもく)して給食を終えることもある。 原理はこの例と同様だが決定的に違うのは二人きりという点である。 しかも異性と、、、 耐性(たいせい)がまだついてないため気になってしまうのも仕方がないだろう。 有村さんはドアを閉め、振り向き、部屋の奥に何冊(なんさつ)も束ねてある教材(きょうざい)(こし)かけた。 「赤崎君もそこ座れるよ。」     
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