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「、、、まさにその通りなんだよ。」
有村さんが言ったように俺が学校を休んだ時に人が消えていなくなってしまう。
その現象は小学校の頃も起こっていた気がするが、自覚したのは中一の頃だった。
、、、もしかして、、、
「有村さん、それじゃあ、あいつ知ってる?あの1年の時1組に居た木村祐樹って奴。よく俺の近くにいたんだけど。」
有村さんは俺のことをよく知っていて奇妙な現象についても知っていた。
有村さんなら祐樹のことを覚えてるかもしれないと、期待して迫った。
「えーと、ごめんね。その現象を知ってても、消えてしまった人のことは知らないの。」
申し訳なさそうに有村さんは言った。
「、、、そっか。」
この感覚は久ぶりだった。
祐樹のことを散々聞きまわったものの、皆「知らない」と口をそろえて言ったのだ。
中一の頃、俺がインフルエンザで高熱を出す前日の学校を最後に、幼馴染で友人の木村祐樹は姿をくらませた。
どこへ消えたのかはわからない。
何しろ皆の記憶から木村祐樹の情報が消え去ったのである。
所在どころか存在すら、今となっては曖昧である。
俺が小学生の時は、あまり近しい中ではないクラスの女子が一人消えた。
その時も体調不良で休んだその翌日である。
今となっては名前も出てこないが、確実に何かが起こっていた。
皆が知らないから俺はそれを気のせいだと思いこんだ。
しかし、祐樹はかなり身近な存在だった。
そんな奴まで消失してしまえばさすがに気のせいでは済まない。
俺が休んだら、身近な人でも、良く知らない人でも、見境なく消える。
次はほかの友人、または家族だって消えてしまうかもしれない。
その恐怖が、俺に健康的な生活を強いさせた。
これが中2中3の皆勤賞のからくりである。
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