夢抱く明るい青少年の話 ちょっとだけ

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量子コンピューターは従来のコンピューターとは違う。 結果はふたを開けてみて初めて決まるという、量子もつれと量子の重ね合わせを完全再現できる。 よって、二進数を使う従来のコンピュータと比べると、容量も処理能力も何乗倍にまで上がる。 ざっくりいうと、とにかく夢のスーパーコンピューターなのだ。 その量子コンピューターが普及され、僕は大学のサークルで自分の夢と長年考えてきた計画を発表することにした。 もう一つの世界を作りその中に入れるようにする。 実現すればこの計画は偉業のレベルを優に超えるだろう。 僕は夢の実現へ励んだ。 しかし、問題はいくらでも発生した。 別の世界を作るには量子コンピューターであっても容量が足りなかった。 ならば人の脳の中に、その脳を使って世界をつくらせればいい。 人の脳は1ペタバイトの容量を持つ。 それはとんでもない量だ。 それと量子コンピューターを合わせれば実現は可能。 量子コンピューターのおかげで脳の構造はどんどん解明されている。 しかし、それでも大部分まだ未知なのだ。 リスクは大きく、危険を伴う。 問題の発生と解決を繰り返していく。 こんな感じで、何度も何度も試行錯誤 を重ねた。 そして、困難の末に 僕たちは人類の夢をかなえることに成功した。 もう1つの世界を作り、入ることもできた。 嬉しくてたまらなかった。興奮して眠れない。 そわそわして家の中をぐるぐる徘徊する。 そんな日々がしばらく続いた。 しかし、最後の最後で、出来事は起きてしまった。
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