”歩かない”と式の手遅れ 中盤

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昨日一体何があった? 大変重要な事があった、それだけは覚えています。 感覚のないからだを無理やり動かして、私は何かの痕跡を探しました。 すると真っ先に目についたのは机の上を汚く埋め尽くしている、一学期にもらったプリント類。 裏紙として使ったようで、プリントの裏に何か書いてあります。 まるで眠りながら書いたような汚い一行の文字列で。 ”としきがなくなれば、この世界もなくなる。なぜならとしきは__” ”としきは”の続きには、鉛筆を滑らせたような線が一本、紙の外に向かって伸びています。 ここで寝落ちたようです。 「としき、、、」 その人名は昨日の記憶をよみがえらせました。 サッカーを見たこと、一人の人間があの数式を成り立たせていたこと。 しかし、なぜそれが”としき”という人物なのだろう。 そんなこと数式に出てきたっけ。 詳しくは思い出せません。 何枚もある裏紙をひとつづつ確認しました。 しかし、プリントに書かれていたのは筆算や計算式などの断片的なものだけで、あの完璧な数式は見当たりません。 あの数式、紙に書いてたかな? 頭の中で必死にその数式を変形させていた記憶はあります。 しかし、記録を残した記憶はありません。
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