”歩かない”と式の手遅れ 中盤

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早速一組を覗くと、すぐに赤崎君の姿が目につきました。 具合はよさそうで何よりです(結束バンドをポケットから取り出した)。 でもなんか、、、いつもとは雰囲気が違う? 必死に、不安げに、焦りを表に出して、友人と話をしています。 何を話しているのでしょうか? 廊下からでは聞こえないので、私はさりげなく教室に侵入しました。 そして聞こえたのはこんな会話。 「じゃあ、出席番号10番って誰だよ。」 「加藤だろ。え、それマジでいってんの?」 「いやいや、マジで。、、、宮地と俺と祐樹でいつも一緒に帰ってたじゃん。」 「はあ?俺とお前だけだよ。祐樹って誰だよw」 いまいち話の内容が入ってきません。 ちょっと険悪? いつもと様子が違う赤崎君に周りが混乱している感じです。 赤崎君自身も混乱しています。 彼の話を聞いて、学年一のお調子者(ちょうしもの)大津正樹(おおつまさき)がしゃしゃり出てきた。 「インフルエンザで記憶飛んじゃったんじゃないの?俺もサッカーの時さ、、、」 大津の自分語りが始まった。 赤崎君はそれどころじゃないって顔です。 「キーパーのてっちゃんと接触して、救急車呼ばれて、そん時マジで試合した記憶が飛んで、、、」 「ごめん、俺ちょっと先生に聞いてくる。」 赤崎君が教室を飛び出した。 大津はほかの人に標的を変えて同じ話をするが、それもう一年前の話題じゃんと突っ込まれて撃沈した。 聞いていた通りのお調子者である。
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