”歩かない”と式の手遅れ 中盤

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”歩かない”と式の手遅れ 中盤

赤崎(あかさき)君。」 (みょう)(はず)んだ声で女子の声に呼び止められた 誰だ? 振り返ると階段を下りてくる見覚えのある女子が居た。 腰まである長いの髪は、俺の斜め後ろの席に居た女子にそっくりだ。 名前は覚えてないが、当の本人だろうか。 「今日はもう帰りますか?」 彼女は俺の隣に立ち止まる。 やけに距離が近いな。 俺は一段階段を下りた。 「いや、まだ帰らないけど。なんで?」 「部活動見学しにいくんですよね?。何の部活ですか?」 質問を質問で返されてしまった。 まあ、別にいいんだが。 「サッカー。」 「へー、サッカー!サッカー部に入るんですか?」 「そうだけど。ちょっと待って、君誰だっけ?同じクラス?」 「はい、同じクラスの有村(ありむら)撫子(なでこ)。て、今日の1時間目に自己紹介したじゃないですか」 「(ななめ)め後ろの席の人?」 「そうそう。よかった、完全に忘れられてた訳ではないんですね。話は早いです。」 「?」 「まずはクラスメートとして、連絡先交換しませんか?」 そう言って、有村さんはポケットから携帯を取り出した。 第一印象と違って意外と積極的な人だ。
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