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「一体あんたは何を考えてんのよ?!」
次の日、わかなの部屋でうとうとしていた僕は、激しく言い争う声で目を覚ました。
「うるさいなあ! キンキン喚かないでよ!」
「親に向かってうるさいとか言うんじゃないの! あんたが問題さえ起こさずにいれば、こんな時間に家にいることもなかったし、喚く必要もないのよ!」
言い争っているのは、わかなと母親らしい。二人は隣の部屋にいるのか、声はするけれど姿は見えない。
わかなの母親は働いているらしく、僕は姿を見たことがない。わかなは部屋にいるとき、ぶつぶつとひとりごとを言ったりはするけれど、こんなに大きな声を聞くのは初めてだった。
「別に万引きなんてみんなしてることでしょ!? 運悪く見つかっちゃっただけで、なんでそんなギャーギャー言われなきゃなんないの?!」
「バカじゃないの!? あんたまさかそんなこと本気で言ってんの!?」
「どうせバカだよ! 知らなかったの?! 知らないよね!! ママはあたしの成績なんかどうでもいいんだもんね!! 自分さえ新しい彼氏と仲良くできればそれでいいんでしょ?! もうかまってこないで!!」
わかなが部屋に飛び込んできた。ずかずかと窓辺に近寄ると、そこに座っていた僕の足を乱暴に掴み、腕を振り上げる。
僕は壁に叩きつけられた。
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