4373人が本棚に入れています
本棚に追加
/364ページ
龍也が、他人に挑戦的なことを言うのは珍しい。
「違います!」と、鶴本くんが言った。
「俺は、麻衣さんが好きなんです」
きっぱり。
その一言で、私は鶴本くんを好きになった。
きっと、龍也も。
「そっか。なら、いいよ」
「なんで龍也がOK出すのよ」と、私は龍也の腕を軽くパンチしながら言った。
「何となく?」と、龍也がおどけて笑う。
「鶴本くん。一方的に麻衣さんを傷つけるようなことがあったら、おっかないお兄さん三人が黙ってないから」
「ちょっと、龍也!」
麻衣が慌てて龍也に詰め寄る。
「やめてよ、変なこと言うの」
「本気だよ。俺じゃなくても、大和さんも陸さんも、きっと同じことを言うよ」
「鶴本くん、脅しじゃないよ? OLCの男どもは麻衣のことを溺愛してるからね。実際、麻衣を泣かせた男を締め上げたこともあるし」
そうなのだ。
大学の頃、麻衣が同じ大学の男にSMを強要された時、大和さんを始めとするOLCの男どもが、あわや暴力事件を起こしそうになった。
そうなる前に、相手の男が逃げ出して、事なきを得たけれど。
「だ、大丈夫です! 泣かされるのは……俺の方だと思うんで……」
ははは、と鶴本くんが少し情けない顔で笑った。
最初のコメントを投稿しよう!