2.OLC

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「悪いな、バタバタで」と、大和が言った。 「何言ってんの」と、私は言った。 「チゲ雑炊は食べられたから、良かった」と、麻衣が言った。 「珍しいね、夫婦喧嘩なんて」と、あきらが言った。 「あれって、やっぱそうなの!?」と、龍也。 「さなえがあんなこと言うの、初めて聞いたな」と、陸。 「ま、色々あるわよね。言いたくなきゃいいけど?」  はぁ……、と大和が深いため息をついた。グイッとビールを煽る。 「さっきさなえが言ったこと、俺が言っちまったことなんだよ」 「え? 結婚前に遊んだ方がいい、って?」 「そ。この前、地元の友達と飲んだ時にポロッと言っちまってさ。そいつは結婚もまだで、彼女もいないって愚痴ってたから、励ますつもりもあって言ったんだよ。結婚が全てじゃない、みたいな? それを、タイミング悪く、迎えに来たさなえに聞かれたんだよ」 「あーーー……。うん。マズいね」と、あきらが言った。 「別に、俺は結婚を早まったつもりはないし、失敗したとも思ってねーよ? 一般論として、焦んなって言いたかっただけでさ」 「それをさなえには言ったの?」 「言ったよ」 「許してもらえなかった?」 「……泣かれた。しかも、俺に隠れて」 「ショックだったんだねぇ」と、麻衣。 「けど、さなえなら大和の言葉が本心じゃないってわかってくれるでしょ?」と、あきら。 「どうだろな。気にしてないって言ってたのに泣いてたし、さっきみたいに言うってことは、やっぱ怒ってんだよな」  大和が弱気になるなんて、珍しい。  基本的に楽観主義だし、『なんとかなる』が口癖。いつも笑ってるイメージ。 「麻衣たちさ、たまにでいいからさなえ(あいつ)を連れ出してやってくんないか?」 「え?」 「あいつ、大斗が生まれてから、全然遊びに出てなくてさ。このメンバーで集まる以外、家事してるか、仕事手伝ってるかでさ。買い物も近くのスーパーに行くくらいだし」 「子供がいたら、そういうものでしょう?」と、私は残っていたポテトを口に入れて、空いた皿を重ねた。
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