3.仮面夫婦

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()れたい?」  焦らした仕返し。  挿れたいに決まっている。が、簡単に降伏しては、男が廃る。 「ねだるのはお前だよ」  少し乱暴に千尋をベッドに横たえると、両足首を掴み、広げ、さっきまで俺を咥えていた部分に、今度は舌を咥えさせた。 「ひゃ――」  ソコから膨らみめがけてゆっくりと、大きく舐め上げる。 「はっ――! ああっ!!」  舌先でくすぐってみたり、舌の表面で大きく撫でてみたり、唇を尖らせて吸い付いてみたり。緩急をつけて繰り返すうちに、雫が溢れ出す。 「挿れて欲しい?」  負けるもんかと、千尋が手の甲で唇を押さえる。  吸い付いて、口の中で膨らみを舌で転がしながら、手を伸ばして膨れ上がった乳首を摘まむと、千尋の身体が跳ねた。 「んんんーーーっ!!!」  三回、四回、五回とリズミカルに身体が跳ねたが、俺は吸い付いた口を離さなかった。  千尋が身をよじって逃げようとする。 「だめっ――! も――、だめぇ――!!」  溢れる雫をかき分けて指を挿れると、膣内(なか)はさっきよりも熱くうねっていた。  舌の動きに合わせて、指を締め付ける。 「やぁ――っ!」  千尋の可愛い声が、更に艶っぽくかすれる。  一度咥え込まれて、より一層大きく硬くなったモノが、指に取って代わろうと疼く。  出しっ放しになっていたゴムに手を伸ばし、千尋の雫を吸い上げながら、装着する。  女の股の間に顔を埋め、手探りでゴムを着ける様は、きっとかなり滑稽だろう。 「――れて……」 「ん?」 「挿れてぇ――!」  顔を上げながら両肩に千尋の足を乗せ、そのままグイッと身体を起こした。大きく開かれた足の間に、腰を寄せる。先端を入り口に当てただけで、くちゅっと水音がした。 「なぁ、千尋」  赤くなった膨らみを指で擦りながら、聞いた。 「ホントは好きだろ?」 「んっ――! あ――」 「好きだって……言えよ……」  涙に滲む千尋の瞳が少しだけ開いて、ゆっくり閉じて、涙が一筋こめかみに向けて流れた。  千尋の、意地。 『愛人』の、意地。  だから、俺が言う。 「俺は好きだよ……」  俺は千尋の頭を撫で、そっと結婚指輪を外した。 「指輪なんてしなくても、感じさせてやるよ」
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