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私たち三人は、顔を見合わせた。
この前といい、今といい、どうもさなえらしくない。
「ねぇ、さなえ。大和のこと、怒ってるの?」
「なんで?」
「この前の飲み会、さなえが帰った後に大和から話を聞いたけど、悩みっていうかストレス溜まってたりしない?」
「……そんなこと……」
さなえが目を伏せる。
「大和、さなえが隠れて泣いてたの、こたえたみたいよ」と、あきらが言った。
「さなえに色々我慢させてるんじゃないかって、気にしてたよ」と、麻衣。
「たまには愚痴を言って、家事ボイコットしてやったらいいんだよ」と、私。
さなえの肩が小刻みに震え、泣いているような気がした。
「さなえ?」
「大斗を妊娠してから……シてないの……」
グズッと、さなえが鼻をすすった。
「もうずっと、キスも――」
「え!?」
大学時代の大和とさなえは、仲が良かった。見てる私たちが恥ずかしくなるくらい、いつもひっついていた。
大和はおおらかな性格に見えて、かなり甘えたで、嫉妬深い。
いつも、他の男が少しでもさなえに近づかないように、見張っていた。
結婚してからもそんな調子ではないだろうけれど、それでも、大和はさなえにベタ惚れなのは変わらないと思っていた。
飲み会の様子を見ても、そうだ。
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