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麻衣がバッグからミニタオルを取り出し、さなえに手渡した。さなえがそれで涙を拭う。
「大和から誘われたりしないの?」
日曜のランチタイムに堂々と話せることではなく、私は少し小声で聞いた。
さなえが無言で首を振る。
「さなえからは?」
首を振る。
「寝室は? 一緒?」と、あきらが聞いた。
首を振る。
「大斗の夜泣きとか、私以外を受け付けない時期があって、寝室を別にしたの。それから、ずっと別で……」
「え!? そうなの?」と、麻衣が驚いて言った。
「最近の夫婦には多いみたいよ? 寝室を別にして戻せないままレスになるって。三十代の夫婦で寝室を別にしている割合が十五パーセントだって聞いたことがあるわ。寝室が一緒でもベッドか別っていうのが五十パーセント、同じベッドで寝ているのは三十パーセントなんだって」
「へぇ……」
普通に、驚いた。
「で、三十代夫婦の約半数はレスだって」
「そんなに!?」
更に、驚いた。
「そ。しかも、レス夫婦の子供はいじめられたり、身体が弱かったりするんだって」
「え――」
さなえの表情が凍りつく。
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