3953人が本棚に入れています
本棚に追加
「匂い……とか?」
麻衣の言葉に、一斉に注目した。
「匂い?」
自分で言っておきながら、麻衣はとても言いにくそうに、俯きがちに言った。
「大和の部屋にさなえの服とか置いておくの。興味がなければ、すぐにさなえのとこに持って行くよね? けど、興味があったら――」
「あったら……?」
「その……、さなえを想像するのに、使った……り?」
……。
麻衣の口からそんなことを聞くとは思わず、目をパチクリさせてしまった。
想像して使うって、つまり――。
「抜くのに使うってこと?」
「千尋!」
ストレートな表現に、あきらが慌てて私の口を手で覆った。
このメンバーで話していると、ついオブラートの使い方を忘れてしまう。
いつまでも大学生気分ではいけないとはわかっているけれど、つい。
さなえは思いっきり顔を赤らめて、俯いてしまった。
「わかんないよ? わかんないけど、男の人って……そうなのかも?」
私はあきらの手を払い除けた。
麻衣らしくない言葉の真意が気になる。
「それは、麻衣の経験?」
「経験……っていうか……」
「鶴本くんに言われたの?」
「言われた……というか……」
「もうっ! ハッキリ言っちゃいなさい」
最初のコメントを投稿しよう!