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「まあ、確かに『いい夢』だよね」
『ごちそうさま』の代わりに、言った。
みんな、充実した恋愛をしているようで、なにより。
「そうは言うけど!」と、麻衣が目を見開いて私を見た。
「千尋はないの? 寂しい時とか、好きな人の服を抱き締めて眠ったりしちゃうこと!」
「……」
思わず、黙ってしまった。
昨夜、比呂のパーカーを着て眠ったことを思い出し、私まで恥ずかしくなる。
それを誤魔化すように、私は頬杖をついて麻衣に言った。
「試してみる価値はあるかも……ね?」
あきらの視線が気になったが、目は合わせなかった。
「とりあえず、やってみよう! さなえ」
「けど、反応なかったら?」
「それは、その時に考えよ? 美容室に行ってさっぱりしてさ、普段着てるパーカーとかカーディガンとか、うっかり忘れちゃったみたいに置いとくの。次の日にはわかるじゃない? 大和がそれに触れたのか」と、麻衣が言った。
「それか、『パーカー置き忘れた』とか言って、大和の部屋に行っちゃえば? で、くっだらない話でもしてさ」と、あきら。
「そうそう」と、私が頷く。
「ま、とりあえず! 美容室行って、さっぱりしよ。それだけで、気分も変わるよ」
三時間後。
私たちの作戦は、早くも半分が成功した。
あきらが送ったメッセージに既読が付くや否や、有り得ない速さで大和がさなえを迎えに来た。
次の飲み会で二人目の妊娠報告もあるんじゃない!?
きっと、あきらと麻衣もそう思ったはず。
車に乗り込むさなえは、嬉しそうだった。
車を見送った私たち三人は、一仕事を終えた安堵と達成感でいっぱいだった。
何となく、三人してスマホを見て、それから、解散した。
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