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4.女子会
習慣、のようなものだ。
この一年、週末はいつも一緒にいた。
だから、一人の週末がほんの少し寂しいのは、気のせい。
比呂が今頃奥さんと、どうしているかなんて考えたわけじゃない。
こんな時に限って、持ち帰るほど仕事も忙しくなくて、久し振りに念入りに部屋の掃除を始めたら、大掃除レベルで疲れてしまった。
一人でカップ麺をすすり、笑えないお笑い番組を消すと、ソファでうつらうつらしていた。
着信音が遠く聞こえ、無意識にテーブルに手を伸ばした。
「もしもし?」
『寝てたか?』
「ん……。ソファでうとうとしてた」
どのくらいこうしていたのか、急に寒くなって身震いする。
『千尋』
「ん……?」
『千尋』
んんんーーーっ、と伸びをして、ソファから立ち上がった。
『ベッドで寝ろよ。風邪ひくぞ』
「どうしたのよ」
伸びたお陰で、目が覚めた。
『いや? お前の声が聞きたくなっただけだ』
「……奥さんとなんかあった?」
『……』
何かあったのはわかったけれど、聞きたいとも思わなかった。きっと、比呂も話したくないはず。
『なぁ』
「なに?」
やっぱり寒くて、寝室に移動した。リビングの明かりを消す。
『お前は俺が妻と同じ部屋に泊まるの、何とも思わないのか?』
「……」
比呂が私に何を言わせたいのかは、わかっている。けれど、それを『私から』言うわけにはいかない。
ふぅ、と微かに息を吐く音が聞こえた。
『やっぱ――』
「――どう答えてほしいの?」
『え?』
「私に嫉妬させたいの?」
どうしてこう、可愛げのないことを言ってしまうのか。
『俺、指輪してるぞ』
「え?」
『指輪をしてる間は、俺の事好きなんだよな?』
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