5.濡れない身体

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 私の腕ごと抱き締めていた鶴本くんの腕が解かれ、腕と腰の間から前に伸びてきた。 「けど、途中でやめられなくなりそうなんでしょ?」 「頑張ります」  耳元で囁かれ、ゾクッと寒気がする。  耳朶を咥えられ、舐められ、その水音が鼓膜を叩く。  太腿を撫でる彼の手が、熱い。  優しく、ゆっくりと、足の付け根に向かって動く。けれど、そこにはいかず、脇腹を伝ってTシャツの中へと侵入してきた。 「脱がせていい?」 「え? やだっ」  即答してしまった。 「じゃ、触っていい?」 「え?」 「見せてくれるなら胸は触らない。触っていいなら、見ない」  そう言いながら、うなじにキスをされ、なんだか上手く考えられない。  どう答えるのが正解なのか、わからない。 「どっち?」 「どっちもムリ……」 「じゃあ、違うとこ触っていい?」  私の答えを予想していたように、鶴本くんの手が降下を開始する。  来た道ではなく、お臍の辺りをくすぐりながら、足の付け根に向かう。  思わず、力を込めてお腹を凹ませた。
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