17.濡れる身体、溺れる心

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「大きなお――」 「――だったら!」と、龍也が割って入った。 「俺とあきらがまとまったら、帰って来い」 『は?』 「あきらが覚悟を決めて俺を受け入れたら、千尋も覚悟を決めて帰って来い」  さすが龍也、と思った。  千尋の性格からすると、挑発に乗ってくるとは思う。それに、先週の様子からすると、あきらと龍也は既に付き合っているようだし、千尋は帰って来るしかない。 『なに、それ。なんで――』 「千尋、借りを返せ」 『はっ? 借りって――』  借り……?  全員が、何のことだろうと龍也を見る。  龍也は、私たちには何のリアクションもせず、スマホから目を離さない。 『――わかったわよ』と言った千尋の声は、声だけでもわかるほど不満げ。 『あきらが龍也のプロポーズを受けたら、帰るわ』 「ぷ――っ?!」  プロポーズ!?  今度は、みんなの視線があきらに集まる。 「決まりだ。あきら、俺と結婚しよう」 「はっ!? いや、えっ!? なんでいきなり結婚なのよ!?」  突然の公開プロポーズに、全員が呼吸を忘れた。  あきらは私たちの視線に顔を赤らめ、視線を泳がせている。 「結婚しなくてもいいじゃない! 千尋! 私、龍也と付き合うことにしたの。それで十分――」 「――俺、四月から釧路に転勤する」 「えっ!?」  釧路……? 「俺と結婚して、一緒に釧路で暮らして欲しい」 「ちょ、待っ――」  龍也が転勤!?  龍也の転勤は、あきらじゃなくても驚く。  陸だけじゃなく、龍也まで……。
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