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突然のプロポーズ
イマジナリーフレンドという言葉がある。小さな子供には珍しくないらしい、いわゆる空想上の友達である。アキもそれかもと考えたこともあったが、大学生になった現在も、アキはまだ俺の隣にいる。
明らかに、俺とは別の意思を持って。
説明会の後、高遠さんと学食へ向かった。女子と、二人きりで食事なんて初めてだ。
まぁ、アキもいるけど。
俺はカレー、彼女はうどんを頼み、向かい合って無言で食べた。何を話せば良いのか、分からなかった。
食べ終わると、彼女は口を開いた。
「吉成くん、あなた、隣に何かいるわよ」
「え」
(え)
思わず、アキの座る隣の席を見た。不思議なもので、アキは俺以外には見えないのに、彼の座る席には誰も座らない。
「あの、高遠さん」
「アヤで良いわよ。私は何て呼べば良いかしら」
「えと、じゃぁハルで」
「ハルくん」
卒倒しそうなくらい嬉しい。
「それでアヤさん。俺の隣に、何が見えてるんですか」
アヤさんはチラリとアキの座る席を見ると、話し始めた。
「何かは分からない。良くも悪くもないもの。今は大丈夫でも、いつかキミに害をなすかもしれない」
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