突然のプロポーズ

1/3
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ

突然のプロポーズ

 イマジナリーフレンドという言葉がある。小さな子供には珍しくないらしい、いわゆる空想上の友達である。アキもそれかもと考えたこともあったが、大学生になった現在も、アキはまだ俺の隣にいる。  明らかに、俺とは別の意思を持って。  説明会の後、高遠さんと学食へ向かった。女子と、二人きりで食事なんて初めてだ。  まぁ、アキもいるけど。  俺はカレー、彼女はうどんを頼み、向かい合って無言で食べた。何を話せば良いのか、分からなかった。  食べ終わると、彼女は口を開いた。 「吉成くん、あなた、隣に何かいるわよ」 「え」 (え)  思わず、アキの座る隣の席を見た。不思議なもので、アキは俺以外には見えないのに、彼の座る席には誰も座らない。 「あの、高遠さん」 「アヤで良いわよ。私は何て呼べば良いかしら」 「えと、じゃぁハルで」 「ハルくん」  卒倒しそうなくらい嬉しい。 「それでアヤさん。俺の隣に、何が見えてるんですか」  アヤさんはチラリとアキの座る席を見ると、話し始めた。 「何かは分からない。良くも悪くもないもの。今は大丈夫でも、いつかキミに害をなすかもしれない」     
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!