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責めるように言ってしまった。アヤさんは、目を丸めて、それから唇を噛み締めた。
「見えてたわ」
「本当に? 公園で塩が効いてないこともわからなかったのに」
アヤさんは、こちらをまっすぐと見据えて来た。
「はっきりとは見えてないの。ただ靄みたいに見えるだけで。特に、嫌なものを感じる時は、本人に伝えたりしたわ。そのせいで、今まで敬遠されて来たことも分かってる。あなたを見たときもすぐわかったわ。今は大丈夫だけど、不安定なものがいるって。だから、隣に座ったの」
アキを消すことが目的だったのか?
「もしかして、俺のことが好きだっていうのは、アキを消すための口実?」
アヤさんは小さく笑う。
「最初はそうでもなかったけど。今は本当。私と会うのが楽しみって、そんなこと言われたことなかったから嬉しかった。ありがとう、ごめんなさい」
アヤさんは頭を下げると、踵を返し去っていった。
吉成遥、彼女いない歴イコール年齢。勿論童貞。
本日、十年来の友達と初めて出来た彼女を同時に失いました。
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